債務整理とは?債務整理の種類やメリット・デメリットを詳しく解説
2023/12/14 01:18
目次
借金などの債務の返済に困ったら、債務整理をおすすめします。
債務整理をすることで返済を楽にしたり、借金をなくせたりするからです。
この記事では、債務整理の種類やメリットなどを詳しく解説していきます。
債務整理とは
債務整理というのは、借金などの債務を減らしたり返済の条件を見直したりすることで、返済に困っている人を助ける手段です。「借金救済制度」と呼ばれることもあります。
債務整理の種類
借金をなくすための方法というと自己破産を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、債務整理には種類があります。
債務整理は、「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」、「特定調停」に分けることができます。
任意整理
任意整理とは、話し合いにより利息のカットや返済期間の延長などにより、毎月の返済額を減らしてもらうことで返済の負担を減らす方法です。3~5年程度で完済できることが利用できる目安です。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てて財産を清算し借金をなくしてもらう手続きです。
自己破産により、裁判所から「免責」してもらうと、原則として借金などの債務を支払う必要がなくなります。
個人再生
個人再生とは、借金などの債務を大きく減らした上で、3年の分割払いにしてもらい返済を続けていくものです(特別な事情があれば5年に延長できます。)。
特定調停
特定調停とは、裁判所で債権者と話し合って返済の負担を軽くしてもらう手続きです。裁判所で行う任意整理のようなものです。
任意整理と同様に話し合いで解決を目指すものであり債権者の協力が必要です。第三者として裁判官と民間の調停委員にも加わってもらいます。
合意すれば調書にまとめられ確定判決と同じ効果が生じることに注意が必要です。つまり合意を守れなかった場合には別途訴訟をすることなく強制執行が可能となってしまいます。
デメリットも大きいため、一般的には「任意整理」を利用することが多いです。
債務整理のメリット
債務整理の共通したメリットは返済の負担が減ることです。返済方法を無理がないものに変更してもらったり、支払い義務を完全になくしてもらったりできることもあります。債務をなくせる目処が立ち生活再建が可能となります。
弁護士に依頼することで取り立てをストップできることも大きなメリットです。
任意整理
任意整理のメリットは、裁判所を利用しないため時間と費用を抑えやすいことが挙げられます。
また、家族や職場などに知られるおそれが少ないことも特徴です。交渉相手も選べるのでローンのある住宅や自動車を処分せずに済むこともあります。職業上の規制もなく柔軟な対応が可能な点がメリットです。
<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説
自己破産
自己破産のメリットは、原則としてすべての借金の返済義務がなくなることです。返済の責任を免除することを「免責」といいます。
免責してもらえるか心配される方も多いですが、免責してもらえることの方が多いです。
例えば、ギャンブルや浪費によって作った借金は免責されないと思っている人もいますが、裁判官の裁量により免責してもらえる可能性があります。
<関連記事>破産宣告とは?自己破産との違いやメリット・デメリットを詳しく解説
個人再生
個人再生のメリットとしては、借金などの債務を大幅に圧縮可能な点が挙げられます。債務の金額によって違いますが、5分の1~10分の1に減らせることもあります。
また、住宅などの財産を手元に残すことができる点に特徴があります。自己破産であれば住宅や自動車などの高価な財産は処分されることになりますが個人再生では財産の処分を強制されません。
ローンがある場合には、債務整理をすると担保に取られた物の権利を失うことが通常です。しかし、住宅ローンについては、特別に支払いを続ける条件で、マイホームを残すことも可能です。
職業上の制限がないため宅地建物取引士など自己破産により業務に支障が出る人にとって有力な選択肢となります。任意整理と異なり債権者が承諾しなくても利用できることもメリットです。
<関連記事>個人再生でやってはいけないことは?注意点や対処法など徹底解説
債務整理のデメリット
債務整理にはどのようなデメリットがあるのか解説します。
ブラックリストに登録される
債務整理に共通するデメリットとして、「ブラックリスト」に登録されることがあります。
「ブラックリスト」という名前のリストが存在するわけではありませんが、個人の信用情報を記録している「信用情報機関」のデータベースに、債務整理があったことが記録されるのです。信用情報は誰でも見られるわけではありませんが、金融会社は会員となっているため閲覧することができます。そのため、債務整理の記録が残っている間はローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることが難しくなります。
もっとも、消費者金融やカードローンを長期間延滞することでもブラックリストになるため、債務整理だけのデメリットとは言えません。また、5~7年で記録は抹消されることになっています。
<関連記事>債務整理後にクレジットカード発行はできる?対処法をご紹介
費用がかかる
債務整理を弁護士に依頼すると報酬費用が必要になるというデメリットがあります。
また、自己破産や個人再生では裁判所費用も必要になります。
債務整理の費用については、「借金救済制度とは?利用するメリット・デメリットを解説」をご参照ください。
任意整理
任意整理は、話し合いで債務整理する方法なので、相手が交渉に応じてくれないと利用できないというデメリットがあります。
また、基本的に利息のカットと3~5年の分割払いにしてもらう方法なので、元本が大きく減らないというデメリットがあります。そのため、利息の高いリボ払いやカードローンなどに効果を発揮する債務整理です。
<関連記事>任意整理を失敗しやすいケースは?ポイントや対処法について解説
自己破産
財産の処分が必要となるため不動産や自動車などの高価な財産は手放すことになります。すべての財産を差し出す必要はなく、生活や仕事に欠かせない物や現金など手元に残せるものもあります。そのため無一文になってしまうという心配はいりません。自己破産は債務者の経済的な再建も重要な目的の一つだからです。
また、職業の規制を受けるため警備員や宅地建物取引士など一部の職につくことができません。ただし、免責により復権すれば規制はなくなります。
個人再生
個人再生のデメリットとしては、利用できる条件が少し厳しいことが挙げられます。
住宅ローン以外の負債が5,000万円までであることや、安定した収入があることが利用できる条件となっています。
債務整理の手続きの流れと完了までの期間
債務整理の基本的な流れと期間の目安について見ていきます。債務整理はケースごとに対応が異なるため期間はあくまで目安であり、大きく異なることがある点はご了承ください。
<債務整理期間の目安>
任意整理 |
3か月~ |
自己破産 |
6か月~ |
個人再生 |
1年~1年6か月 |
※ケースによっては大幅に期間が延びることがあります。
任意整理
1.弁護士に相談 2.債権者に依頼を受けたことを通知(取り立てがストップ) 3.取引履歴の取得、利息の計算 4.債権者と交渉・和解(利息のカット、長期の分割払いを求めます) |
貸金業者などに受任通知を送るとともに、取引履歴の開示を求めて、利息制限法に基づき利息を計算し直し、現在の借金額を確定させます。貸金業者の主張する金額が正しいとは限らないのです。
その後、交渉をして利息をカットしてもらったり、分割払いにしてもらったりします。
自己破産
1.弁護士に相談 2.債権者に依頼を受けたことを通知(取り立てがストップ) 3.取引履歴の取得、利息の計算 4.裁判所への申立て 5.開始決定 6.財産の処分・債権者集会(管財事件のケース) 7.免責手続き |
調査の必要がなく「同時廃止」となるときは、申し立て時から2~4か月くらいは債務整理に時間がかかります。少額管財になると、申し立て時から3~6か月くらいは必要です。事前準備にも数か月かかります。
自己破産について詳しくは、「自己破産をするには?やり方・手続きの流れや費用など詳しく解説」をご覧ください。
個人再生
1.弁護士に相談 2.債権者に依頼を受けたことを通知(取り立てがストップ) 3.取引履歴の取得、利息の計算 4.裁判所への申立て 5.個人再生委員の選任(選任されないことも) 6.(履行可能性テスト) 7.再生手続き開始決定 8.再生計画案の提出 9.債権者の議決または意見聴取 10.再生計画認可決定 |
個人再生による債務整理では、裁判所から再生計画を認可してもらう必要があります。申立てから再生計画認可決定までは半年程度はかかります。事前準備にも数か月はかかります。
個人再生については、「借金救済制度とは?利用するメリット・デメリットを解説」をご参照ください。
債務整理の相談先は弁護士がおすすめ
債務整理には種類があり、適切な方法を選ぶことが必要です。
例えば、マイホームを維持したいのであれば任意整理や個人再生が適切ですし、収入が不安定な場合や、借金の額が多ければ自己破産が適切かもしれません。
弁護士に相談することで、その人に合った債務整理の方法をアドバイスしてもらえます。
<関連記事>借金問題を解決する方法とは?解決したいときの相談先や手続きを詳しく解説!
まとめ
・債務整理とは、借金を減らしたり、分割払いにしたりすることで負担を軽くする方法です。借金をゼロにする方法もあります。
・債務整理には、「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」などの方法があります。
・任意整理は、話し合いで債務整理する方法です。
・債務整理をするとブラックリストに載りますが、しばらくすると抹消されます。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)