自己破産すると連帯保証人はどうなる?その影響や対処法について解説

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自己破産した場合に連帯保証人がどうなるのかその影響を心配されるかもしれません。実際に何が起こるのかどうしたら連帯保証人を守ることができるのか考えることが大切です。特に家族や友人を連帯保証人にしている場合には適切な対処法をとることが必要です。

この記事では保証人に認められる権利や保証人に迷惑をかけない債務整理の方法、ご自身が連帯保証人だった場合の対処法などを解説していきます。 

まず理解したい「連帯保証人」と「保証人」の違い

保証人とは、債務者がその義務を果たさない場合に本人に代わって義務を果たさなければならない人のことです。

借金であれば借主が返済できないときには債務者に代わって返済しなければなりません。

連帯保証人とは、ただの保証人ではなく債務者と連帯して債務を負担する人のことです。具体的には「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」、「分別の利益」を持っていない保証人のことです。

1.分別の利益

分別の利益とは、数人の保証人がある場合には債務を人数分で平等に分けた部分のみ責任を負えばいいというものです。

例えば、債務が300万円ある場合に保証人が2人いるときはそれぞれの保証人は150万円の限度で弁済すれば足りることになります。

連帯保証人には分別の利益はありません。そのためそれぞれの保証人が300万円全額を返済する責任があることになります。もちろん債権者は300万円の請求権しか持っていないため一方の保証人が全額を支払えば他方の保証人は債権者に対する責任はなくなります。ただし、弁済した保証人から負担部分を超える金額について求償を受けることがあります。

例えば、500万円の債務についてABが連帯保証(負担割合平等)している場合に、Aが全額弁済したときは、ABに対し250万円を請求することができます。

2.催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、保証人が債権者から請求を受けた場合にまずは債務者に催告するように請求できる権利のことです。ただし、主たる債務者が破産手続開始決定を受けるか行方不明のときには利用できません。

連帯保証の場合にも催告の抗弁権はありません。連帯して支払う責任を負っているからです。したがって、債権者が債務者に催告していないときであっても連帯保証人はそれを理由に弁済を拒むことはできません。

3.検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、債権者が保証人に債務の履行を請求してきた場合に、まず債務者の財産に強制執行を行うよう請求する権利のことです。ただし、この権利を行使するには債務者に弁済をする資力がありかつ執行が容易であることを証明する必要があります。

連帯保証人には検索の抗弁権はありません。そのため債務者が十分な資力を持っていたとしても債権者からの請求を拒否することができません。

自己破産による連帯保証人への影響とは?

債務者が自己破産した場合の影響について解説します。

借金の残額が一括請求される

債務者が自己破産すると保証人は一括請求を受けるおそれがあります。

自己破産すると法律上期限の利益を失うことになっているからです。

借金などの債務が分割払いとなっているときに期日まで支払わなくていい権利を「期限の利益」といいます。

もっとも、期限の利益は自己破産以外にも喪失することがあります。一般的な契約では2回以上滞納した場合には期限の利益を喪失すると規定していることが多いといえます。そのため自己破産のみ恐れる理由はありません。

ただし、一括請求するかどうかは債権者次第ですのでこれまでと同様の分割払いを認めてもらえることもあります。

財産差し押さえの可能性がある

債務者が自己破産し免責されてしまうと支払責任は保証人が負っていくことになります。保証人が弁済できなくなってしまうと保証人は強制執行による差押えを受けることもあります。

「求償権」が免除になる

保証人が弁済した場合には債務者に対して代わりに支払った金額について返還を求める権利が発生します。

自己破産をして免責されると原則としてすべての債務の支払責任がなくなります。求償に応じる義務も免責されることになります。

そのため保証人は債権者に弁済したとしても弁済したお金は戻ってこないことになります。もっとも、債務者は求償に応じる義務がないだけであり破産手続きが終了すれば自分から返済していくことは可能です。

【状況別】自己破産の連帯保証人に関する対処法

自己破産した人の連帯保証人となっていたり連帯保証人が自己破産してしまったりしたときの対処法を見ていきます。

1.自己破産した人の連帯保証人になった場合

連帯保証人を引き受けたあと主債務者が自己破産した場合の対処法を紹介します。

分割払いの交渉をおこなう

主債務者が自己破産すると期限の利益を喪失し保証人は一括請求を受ける可能性があります。ですがこれまで分割で支払われていた債務を一括で支払うことは難しいことも多いです。あくまで債権者次第ではありますが分割払いに応じてもらえることもあります。そのため一括請求を受けた場合であっても債権者と交渉をすることを検討します。

債務整理を選択肢に入れる

一括請求された場合に返済できないときや分割払いであっても返済が難しいときには保証人自身が債務整理することも検討してください。債務整理には主に3つの方法があります。

任意整理

任意整理は債権者との話し合いにより将来の利息をカットし35年の分割で返済を行う方法です。裁判所を利用しないためハードルの低い方法です。特に利率(手数料率)の高い債務で有効です。基本的に元本を減らすことはできない点に注意が必要です。

<関連記事>任意整理とは?4つのポイント

個人再生

個人再生は元本を含め債務を大幅に減額することができます。裁判所に返済計画を認可してもらい返済していきます。財産の処分を強制されませんしローンのある住宅を残すことも可能です。

<関連記事>個人再生とは?4つのポイント

自己破産

自己破産により免責されると一部の債務(税金等)を除いて弁済する責任がなくなります。高価な財産は処分しなければなりませんが現金を含め残せる財産も多くあります。

<関連記事>自己破産とは?5つのポイント

2.連帯保証人が自己破産した場合

自分が主債務者である場合に頼んでいた連帯保証人が自己破産してしまうこともあります。この場合、原則として新たに連帯保証人を探すか物的担保を提供する必要があります。担保を提供できないときには期限の利益を喪失します。

ただし、債権者が指名した連帯保証人であったときにはその必要はありません。また破産者であってもかまわないと債権者が認めた場合にも同様です。

連帯保証人に迷惑をかけない債務整理とは?

連帯保証人がいるために債務整理をためらうことがあります。ですが連帯保証人に影響を与えない債務整理方法もあります。

任意整理

任意整理は債権者との交渉により返済の負担を軽くする方法です。あくまで話し合いにすぎず裁判所も利用しないためどの債権者と交渉するかは自由です。そのため連帯保証人のいる債務を除外してその他の債権者とのみ和解することが可能です。これにより連帯保証人に迷惑をかけなくてすませることができます。

特定調停

話し合いによる債務整理の一つとして特定調停があります。裁判所を利用する点で任意整理と異なります。特定調停は簡易裁判所で行われる手続きであり民間人である調停委員と裁判官に返済額や方法について調整してもらうことになります。

デメリットとしては、調停が成立しないことがあるほかに調停が成立した場合に強制執行を受けやすくなることがあげられます。本来強制執行をするには訴訟を起こすことが必要ですが調停調書には確定判決書と同等の効果があるからです。調停での約束を守れず滞納してしまうと直ちに強制執行を受けるおそれがあります。安易に合意せず弁護士に相談することが大切です。

<関連記事>特定調停とは?4つのポイント

自己破産の連帯保証人に関する疑問

自己破産と連帯保証人に関するよくある質問にお答えします。

Q.自己破産した人は連帯保証人になれる?

住宅ローンなど審査の際に信用情報機関に照会するケースでは510年間は連帯保証人となることは難しくなります。

自己破産をすると信用情報機関に510年事故情報として記録されるためです。そのため金融機関との契約や奨学金、保証会社を利用する賃貸借契約等の場合には少なくとも5年間は連帯保証人となることは困難です。

※事故情報登録期間は信用情報機関によって異なります。主に銀行が加盟している「KSC」は10年となっておりその他は5年となっています。

つまりそれ以外の契約であれば期間が経過していなくても連帯保証人となれる可能性があります。

信用情報機関については、こちらの記事「債務整理後の生活への影響は?仕事や住宅ローンへの影響など解説」をご参照ください。

Q.自己破産時に連帯保証人の存在を隠すとどうなる?

自己破産手続きでは債権者リストを提出しなければなりません。その際、一部の債権者を除外することは認められていません。

虚偽のリストを提出するとその債務だけでなくすべての債務について免責されないおそれがあります。担当弁護士や破産管財人が調査するため隠しきれるものでもありません。したがって、連帯保証人のいる債務を隠して手続きをとることはできません。

Q.家族を連帯保証人にしている場合は?

自己破産すると連帯保証人である家族に請求がいくため注意が必要です。事前に相談し返済が不可能であれば同時に債務整理を進めた方がいいでしょう。一緒に債務整理を行うことで必要な書類を集めたり作成したりする手間や費用を抑えられます。

<関連記事>自己破産した際の家族への影響は?家族へのデメリットなど徹底解説!

まとめ

保証人には債権者に対抗できる3つの権利がありますが連帯保証人にはありません。

自己破産すると連帯保証人は一括請求されるおそれがあります。連帯保証人に迷惑をかけないためには任意整理や特定調停も選択肢となります。連帯保証人が弁済できないときには連帯保証人自身も債務整理を検討することが大切です。

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本記事の監修弁護士  前田 祥夢(東京弁護士会所属)

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