管財事件と同時廃止の違いとは?

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はじめに

法律上の手続きは専門用語が多くて理解するのが大変だと思います。
できれば弁護士に依頼し難しいことはすべて任せてしまいたいと思われることでしょう。
たしかに弁護士に相談すればややこしいことは代わりにしてもらえますし自分でやらなければいけないこともわかりやすく教えてもらえます。専門用語を覚える必然性はありません。
ですが重要なことについてはあらかじめ知っておくことも大切なことです。そうすれば手続きの流れも理解しやすくなり不安に思うことも少なくなっていくはずです。
特に破産というのは非日常的なものであり慣れ親しんでいる人はいません。そこに出てくる用語も変わったものが多く一見しただけでは理解できません。
例えば「管財事件」という用語がありますが「事件」と聞いてとても怖いものと勘違いする人もいます。実際には恐れるようなものではありませんがそれが何なのか知るまでは不安に感じるのは無理もないことです。
ここでは混乱しがちな管財事件と同時廃止の違いについて解説します。

管財事件について

破産は債務を帳消しにしてもらうための制度だと一般的に思われています。たしかに免責を得ることでほとんどの債務がなくなりますし自分から申し立てる目的はその点にあります。
しかし本来の目的は債権者に対して公平に財産を分配することにあります。債務者の経済的再生も大きな目的ではありますがその資産状況をつまびらかにし必要に応じて処分した上で換価されたお金を公平に分けることも重要なのです。その意味で債権者のための制度でもあるわけです。実際には分配できる財産がないことが通常のため債務者のための制度であると認識されているのです。

財産を公平に分けるためには財産を調べることが必要です。債務者は申立ての段階で自分がどのような資産を持っているのかを明らかにしなければなりません。詳しい資料を提出するのです。しかしその内容が正しいかはわかりません。隠匿する目的で報告をしない人もいますしうっかり書き漏らしてしまうこともあります。裁判所としてはうのみにすることはできません。そこで疑わしいケースでは調査をする必要があります。ですが裁判所が直接調査をするのは時間や人手などの問題があり現実的ではありません。
そのため外部の法律家が調査を行うことになります。このように選ばれた人を破産管財人といいます。通常は弁護士が選ばれることになります。

こうして管財人がつくことになるケースを管財事件といいます。これが基本となります。

管財人は資産の調査のほかお金に変えられるものは処分し最終的には債権者に優先順位や債権額に応じて配当を実施します。

管財人は外部の専門家のため相応の対価を払う必要があります。そのためそれなりに費用がかかることになります。
また調査にはそれなりに時間がかかりますし債務者も管財人と面会する必要があるため手間もかかることになります。
また一定の自由が制限される点にも注意が必要です。
例えば郵便物は管財人の事務所に転送され中身をチェックされることになります。外泊を伴う遠出も裁判所の許可が必要となります。これらは財産の調査や処分に必要だからです。

免責を得られるまでの期間は大体裁判所での手続きから半年くらいはかかります。

同時廃止について

本来管財人が選任される理由は財産を漏れなく調べ公平に分配するためです。だとすれば分配する財産がないことが明らかであればその必要はありません。時間も費用も無駄になってしまいます。かえって赤字になることもあります。
そこで破産の費用さえ賄えないようなケースでは手続きを行わないことになっています。破産決定と同時に手続きを終了するため同時廃止と呼ばれます。
これにより前記した手間と時間の係る調査が省かれ生活上の制限もかからなくなります。
手続きはそれだけ簡単なため費用もずっと少なくてすみます。

基本的には資産が少なすぎる場合には同時廃止となりますが例外もあります。そもそも財産がほかにないかチェックすることも管財人の仕事です。そうであれば財産が申告されたもの以外にあるのではないかという疑いがあれば裁判所は調査のため管財人に依頼することになります。
表面的に財産がないときであっても取り戻せる財産があるときには管財事件となります。例えば支払いが難しくなったときに債権者の一部にのみ返済した場合には管財人はそれを否認し取り戻すことができます。財産を隠す目的で財産を譲渡したような場合も同様です。こういった場合に管財人がいないと現実的に取り戻すことができないからです。

自己破産は免責されることではじめて支払い義務がなくなります。どのような場合であっても免責されるわけではなく一定の事由があると認めてもらえません。例えばギャンブルや浪費、財産の隠匿などがあると認めてもらえないことがあります。
これらも調査しないと事実が明らかになりません。管財人にはこのような事実についても調査権限が与えられています。
そのため財産が少なかったとしても免責不許可事由の有無を調べる必要があると判断されると管財事件となります。

こちらの方法では裁判所での手続きから4か月程度で免責を得られることが多いといえます。

どちらの手続きになるのか

基本的には費用が少なくてすみ手間や時間もかからない同時廃止を希望される方が多いと思います。しかし上記で見たように債務者が自由に選択できるわけではありません。もっとも弁護士に依頼している場合にはどちらの手続きをとるかについて希望を述べることはできます。

実はどちらの方法がとられるのか絶対的な基準があるわけではありません。裁判所により判断基準も違っています。

管財事件となりやすいのは高価な財産を保有している場合や、免責不許可事由の有無が問題となる場合、それに個人事業主など経営者が対象となるときです。
これらは財産の管理や処分、破産に至った背景の調査などに専門家の力が必要だからです。

ここで高価な財産というのがどの程度かという問題があります。裁判所によって運用が異なることから絶対とはいえないですが、通常は財物の中に20万円以上の価値のあるものが含まれているかが基準とされています。
総財産が20万円という意味ではありません。
例えば財産として10万円の預金、10万円の時計と15万円のバイクのみ保有しているときには総額で35万円となりますが同時廃止になる可能性が高いといえます。

現金については特別な扱いがされることがあるため注意が必要です。例えば東京地裁では33万円以上のときのみ管財事件としています。

一つ注意したいのは同時廃止のほうがいいとは必ずしもいえない点です。
費用も手間も期間も少なくて済むのだからそれに超したことはないようにも思えます。しかし一部の財産を残したいような場合には管財事件のほうが望ましいこともあります。
破産したとしてもすべての財産を奪われるわけではありません。99万円以下の現金などは自由財産と呼び手元に残すことができます。生活ができなくなってしまっては問題があるからです。
本来残すことのできない生命保険や自動車などを裁判所に申し立てることで自由財産にしてもらえる可能性もあります。
この申し立ては管財事件の場合にのみできることになっているのです。そのため事案によっては管財事件のほうが好ましいこともあります。

例えば、現金50万円と30万円の自動車があり管財事件となった場合、自動車を自由財産に含めてもらうことで保有し続けられる可能性があります。

その他

少額管財

法律上規定があるわけではありませんが一応管財事件ではあるものの一部の手続きを簡略化したものがあります。東京など一部の裁判所で実施されています。
管財事件は費用がとても高いという問題があります(弁護士費用のほかに50万円以上かかります。一方で同時廃止の場合には1~2万円くらいです。)。
もともとお金がないから破産するわけですからこれだけ高額な費用を工面することは難しいことです。
一方でどのような案件でも同時廃止にするわけにもいきません。前記のように調査が必要なケースはたくさんあるからです。
そもそも管財事件が原則なわけですからなるべく正規の手続きを踏む必要があります。
そのため手続きを簡略化し費用を抑えた方法が多くのケースで利用されるようになっています。調査の一部を代理人弁護士が担うことで実現しています。

ただし誰でも利用できるというわけではありません。すでに述べたようにすべての裁判所で実施されているわけではありません。また弁護士に依頼することが必須とされています。

弁護士への依頼

自己破産は債務者本人が手続きをとることができることになっています。しかしそれはあくまで建前上であって実際には複雑な手続きを一人で行うことは難しいといえます。少額管財となるケースも多くなっていますがこれは弁護士に依頼しなければ利用できません。費用を抑えようとして自分で手続をとった結果通常の管財事件となりかえって負担が大きくなることもあります。免責を確実に得るためにも弁護士に相談されることが大切です。

まとめ

  • 破産は財産を精算し債権者に公平に分配するための制度でもあります。財産を調査し処分換価配当を実施する人を破産管財人といいます。管財人がつくケースを管財事件といいます。費用と時間がかかります。
  • 財産が少なく費用も賄えないときには管財人はつかず手続きはそこで終わります(同時廃止)。費用と時間が少なくてすみます。ただし財産が少ないときでも隠匿している疑いがあったり免責不許可事由があるときには管財人がつきます。
  • 自由財産を拡張するには管財事件でなければなりません。
  • 少額管財という簡易化した方法が利用されることも多いです。利用するには弁護士に依頼する必要があります。
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