特定調停とは?4つのポイント

はじめに

債務整理を考えるとき複雑で難しそうな内容のものが多く敷居を高く感じるかもしれません。確かに自己破産や個人再生は債務者本人が一人で行うことは現実的ではなく普通は弁護士に依頼して行うことになります。

話し合いで解決する任意整理についても法律の知識が不可欠なため弁護士に依頼し代わりに交渉してもらうことになります。
そうすると本人が一人で行える方法はなさそうにも思えます。しかし専門的な知見をもった第三者に加わってもらい話し合いをするのであれば一人でもできるかもしれません。それが特定調停です。
ここではその基本的な内容について見ていきたいと思います。

ポイント1~どのようなものか

調停とは、さまざまなトラブルを抱えている当事者のために裁判官と調停委員が紛争の解決のために話し合いの仲介をしてくれるものです。
家族間の問題を扱う家事調停、不動産や医療、交通事故など専門的な知見が必要な事案について不動産鑑定士や医師など各分野の専門家である調停委員が間に入ることで円満に問題を解決できる可能性があります。

その中で特に債務を抱えて困っている人と債権者の利害調整を図るために特化したものが特定調停にあたります。もっとも誰でも利用できるわけではなく将来的に支払いに行き詰まる可能性があり、かつ返済していける見込みのある人が使えます。

話し合いで解決を目指すものであり中立の第三者が間に入ってくれるため専門家に依頼せずに本人自らが交渉していくことも可能です。
返済内容を無理のないものに変更するものにすぎないため財産の処分も必要ありません。
借金をゼロにしてもらうことはできませんが無理のない返済プランに変えてもらえるように交渉します。

一般的には3年くらいの分割払いにしてもらい利息や遅延損害金の免除を目的に交渉することになります。

話し合いがまとまると調停調書が作成され確定判決と同じ効果が生じます。債務者は約束した方法で返済を行っていきます。

ポイント2~メリット

債務整理の方法は自己破産など他にもいくつかあります。そのため他の方法と比べてどのような特徴があるのかを理解しておく必要があります。

柔軟性

まず柔軟な解決が行えることが挙げられます。
あくまで和解交渉でありお互いが納得する限り基本的にはどのような内容の合意も可能です。
例えば、話し合いに保証人を加えることで関係者全員の利害調整を一度に行うことも可能です。
交渉相手も選べるためどうしても除外したい債権者がいる場合には交渉せずにもとの条件のまま支払い続けることも出来ます。例えば、保証人のいる債務のみ除外することで保証人に請求がいかないようにすることや職場から借り入れがあるときに債権者から除外することで債務整理の事実を秘密にすることができます。

秘密を守れる

自己破産と異なり官報に公告されることがないため誰かに知られてしまう可能性がそれだけ低くなります。
家族に対しても知られにくい手続きといえます。ただし必要な書類が裁判所から届くためそのままでは知られる可能性があります。同居の家族に知られないようにするためには書類の送付先を自宅以外に設定できるためそちらで受領するようにします。

費用

債務者本人が手続きをとることができることも利点といえます。他の手段はどうしても専門的な部分があるため弁護士に依頼することが通常であり、それと比べると敷居が低いといえます。
そのため費用が必然的に安くすむことにもなります。
その内訳は、申立手数料として債権者1人あたり500円、郵送料として1人あたり430円が必要です。※事案や裁判所によって異なることがあるため事前に調べる必要があります。

財産の維持

財産を守れることも大きな魅力です。自己破産であれば不動産や自動車など高価な財産については換価のため処分しなければなりません。これに対しあくまで話し合いで解決するもののため自宅などを残すことができます。
ローンの残っている財産についても手元に置くことが可能です。普通は返済の終わっていない物には所有権留保などの担保権がついているため引き上げられてしまいます。ですが債権者を選んで交渉することができるため残したい物のローンについてはそのままにすることで手元に置いておくことができるのです。
例えば、消費者金融からの借り入れと自動車ローンがある場合に、自動車は仕事で必要なため調停手続きからはずして消費者金融会社のみ交渉することが考えられます。

取り立ての禁止

取り立て行為が禁止されることも重要です。債務整理を検討している方は債権者からの連日の督促に精神的に疲弊していることが少なくありません。勤め先や家族に知られるのではないかという不安をもつ方も多くいます。
手続きが開始されると裁判所から相手方にその旨の書類が送付されることになります。これにより直接返済を迫られることから解放されます(法律上は貸金業者など一部の債権者のみ取り立てが禁止されます。)。

強制執行を防ぐ効果もあります。すでに判決や公正証書など債務名義を取得されてしまい執行の危険性が高まっているのであれば大きな意味があります。
強制執行を受けると債務整理に支障が出ることがあります。残すことが出来たはずの財産を失うなどさまざまな影響があるからです。
例えば、勤務先が知られている場合には給料を差し押さえられる危険がありますが、もしそうなれば職場に知られるだけでなく他の債務への支払いに支障が出ます。給料の支払いに特別な配慮が必要となり職場に負担をかけてしまうことにもなります。執行の停止を申し立てることでこのような不利益を回避できる可能性があります。
仮にこのような切迫した状態であれば弁護士に相談し対処してもらうことが必要です。

職業の制限がないことも重要といえます。自己破産であれば免責されるまでの間は宅地建物取引士や警備員などさまざまな業務に就くことができなくなるため仕事に支障が出る可能性がありますがこのような心配がありません。

ポイント3~デメリット

話し合いで解決できる穏便な方法で費用もかからないなどいいことばかりのようにも思えますが問題となる面もあります。

特に債務の減額の程度が低いことが問題となります。基本的に長期の分割払いにしてもらうことと、利息や遅延損害金をカットしてもらうことが目的となるため元本の減額は基本的にできません。普通債権者が大幅な減額に応じることはないからです。
※ただし利息制限法に違反して貸付けが行われていた場合には利息を計算し直すことで大幅に減額されることがあります。
自己破産であれば原則として支払い義務がなくなりますし、個人再生でも5分の1程度に減額されることを考えると見劣りすることは否めません。

債務名義を取得されてしまうことも覚えておかなければなりません。債務名義というのは財産に強制執行をかけるために必要なものです。執行認諾文言付きの公正証書や確定判決がこれにあたります。
話し合いがまとまり合意すると調停調書が作成されますがこれも判決と同じに扱われます。つまり約束通りに支払いができないといつでも執行される可能性がでてきます。普通は訴訟をしないと差し押さえることができないのにその手間や費用をかけることなく債権者は差し押さえができてしまうのです。任意整理であればこういった問題は生じません。

メリットとして専門家に依頼せず自分一人で行うことができることを説明しました。しかしそれはやろうと思えば不可能ではないという意味であり簡単であるという意味ではありません。必要な書類を用意するだけでも労力と時間を要します。
例えば、現在の経済状態を明らかにした書面や債権者のリストなどを作成しなければなりません。必要書類は裁判所によって異なるため自分で調べて作成しなければなりません。
裁判所は平日にしか対応してくれないため仕事によっては休まざるを得ない点も問題です。少なくとも2回は出頭する必要があり2か月くらいかかります。事案によってはさらにかかることもあります。

話し合いによって解決するものであるため意見がまとまらなければ期待した効果は生じません。調停が成立すると債務名義となってしまうため安易に妥協しないように気をつける必要があります。弁護士であれば利息をなくすよう交渉していきますが本人が手続きをすると利息や損害金がそのままとなってしまうケースもあります。

取り立てが停止されることに触れましたが手続きを行うまでに相当な時間がかかるためすぐにその恩恵を受けることはできません。これに対し弁護士に依頼すれば受任通知が送付され取り立てが速やかに停止されます。

ブラックリストに載ることにも注意が必要です。これは貸金業者などの金融会社が加盟している信用情報機関のコンピューターに要注意事項として記録されてしまうという問題です。これにより新規の融資を受けることはしばらく不可能となってしまいます。

ポイント4~向いている場合

特定調停を利用するのに適しているケースは、利息損害金をカットした残りを3年長くて5年程度で無理なく完済できる場合で、費用をとにかく抑えたいときといえます。
そのためには安定した収入があることが必要です。また、毎月の支払金額は無理のない範囲に収まることに注意が必要です。年単位での返済となるため病気や怪我など突発的な支出に備えなければならないからです。仮に支払えなくなったときに自己破産などを選択するのであればはじめからしておけばよかったと後悔することになりかねないからです。任意整理と比較しても債務名義を取得されてしまうことは大きなリスクを負うことになります。

残したい財産があるときにも選択肢となりますが任意整理でも同様なので同時に検討することが大切です。

特定調停は他の方法と比べると利用者が多いとはいえません。利用するにしても他にもいろいろな方法があるため、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

まとめ

  • 裁判官と調停委員を交えた話し合いによる債務整理です。利息損害金をカットしてもらい3年程度の無理のない返済プランに変更してもらえるように交渉します。
  • 弁護士に依頼せず一人で手続きをとることができます。その分費用も安くすみます。
  • 職場や家族などに知られる可能性が少ない方法です。
  • 不動産などの高価な財産を残すことが可能です。整理する債権を選べるためローンのある財産であっても残すことができ保証人に負担をかけずに済ませることも可能です。
  • 取り立てを受けなくなるため精神的な負担を軽くすることができます。
  • 債務名義を取得されてしまうため約束どおりに返せないと財産を差し押さえられるおそれがあります。
  • 平日のみ手続きが可能なため自分で手続きを行うのであれば仕事などのスケジュールに注意が必要です。

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