借金時効の制度とは?時効の条件や手続き方法について徹底解説!

「時効」という言葉を聞いたことはありませんか?

「もうあの約束は時効だから~」という風に会話でも使われたりしますよね。「時効」とは一定時間が経過することで、効力がなくなることを指します。

実は借金にも「時効」があります。長い間借金をしていると、「時効」になることがあり、時効が成立した場合は、その借金は0になり、返す必要がなくなるのです。

「自分にも数年間返済してない借金があるな…」と思った場合は、要チェックです。もし、時効になっていた場合はそれは払わなくともよくなるわけです。

今回の記事では、そもそも「借金の時効」とは何か、どういったメリット・デメリットがあるのか、どうやって成立させるのか、といったことについて説明させていただきます。

借金の時効とは?

借金には”時効”がある

時効には大きく分けて2種類ありますが、このうち借金に関わる時効は「消滅時効」と呼ばれています。

「消滅時効」とは、ある権利を有していたとしても、一定期間が過ぎてしまうとその権利は消滅してしまう、という制度です。

少しイメージしづらいと思うので、ここは借金を例に考えてみましょう。

AさんはBさんから100万円を借りていて、借金がありました。しかし、借金の返済期限はとっくに来ていて、BさんはAさんに対して、「100万円を返せ!」と訴えることもできました。

しかし、Bさんは忘れっぽい性格だったため、Aさんに100万円貸していたこともすっかり忘れていました。このまま、一定期間過ぎてしまった場合は、BさんはAさんに対し、「借金を返せ」と主張する権利を失ってしまうのです。

なぜ、このような制度があるのか疑問に思うかもしれませんが、先ほどの例の場合では、借金の催促を忘れてしまっていたBさんに責任がありますし、ある程度時間が経ってしまうと、Aさんがお金を返した、という証拠も失われてしまう恐れがあるのです。

 あなたに借金がある場合でも、前述した例のように金を貸している側が返済を催促しなくなってから結構経つ……ということであれば、もしかすると借金が消滅時効にかかっていてなくなるかもしれません。

借金時効の成立する条件は?

では、消滅時効が成立するのは、どういう場合でしょうか?以下で詳しく説明いたします。

時効の更新がないこと

一定期間時間が経てば「時効」は成立しますが、途中で時効が「更新」されることがあります。この更新とは、途中まで進んでいた時効が、ある事情が起こった場合にリセットされてしまうことを言います。

例えば、先ほどのAさんがBさんに借金をしていた例で考えてみましょう。Bさんが長らく「借金を返せ」と言い出さなかったため、あと3か月で時効が成立するところだったとしましょう。

しかし、ここでBさんが唐突に「そういえばAにお金を貸していたな」と思い出し、Aさんにお金を返してもらう為に裁判を起こします。この場合、今まで経過していた時効期間はリセットされてしまい、Aさんの借金に時効が成立するにはまた訴えがあってから5年が必要となります。

Bさんから訴えられる場合だけでなく、Bさんの訴え等によって財産が差し押さえられてしまった、という場合も同様です。

また、Bさんから「Aさん、貴方私に借金をしていますよね?早く返してください。」と言われてAさんが「確かに貴方から借金をしていますね」と認めたり、「分かりました、もう少し待ってください」と答えたりするだけでも時効が更新されています。なぜなら、借金があることを認めてしまっているからです。この場合もAさんは借金があることを認めてからさらに5年経たなければ時効が成立しなくなってしまいます。

返済期限から5年または10年経過している

20204月に民法が改正されたため、改正前か後かによって時効の期間は少し異なります。

①借金をしたのが202041日より前の場合

この場合は、改正前の古い民法が適用されます。

銀行または貸金業者からの借金であれば、最後に返してから5年が経過すれば、時効が成立します。

例えば、20152月に借金をし、以降返し続けていましたが、20171月を最後に返すことが出来なくなったとしましょう。

この場合、最後に借金を返した20171月から5年、すなわち20221月で時効が成立することとなります。

一方で、銀行や貸金業者以外から(例えば、信金や労金、奨学金、個人から)の借金であれば、最後に返してから10年が経過すれば、時効が成立します。

②借金をしたのが202041日以降の場合

この場合は、改正後の現行民法が適用されます。改正後の民法では、銀行・貸金業者とそれ以外との区別がなくなりました。

民法 第166条 第1項

債権は,次に掲げる場合には,時効によって消滅する。

① 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。

② 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

 民法にはこのように規定されています。 

「権利を行使できることを知った時」というのは、「借金を返せ」と要求できることを知った時、という意味です。

貸主側は借金の返済期限になれば、「借金を返せ」と要求できるようになります。それが出来ることに気づいてから5年、若しくは期限が来てから10年が経過することで時効になるということです。

もっとも、借金の貸主側が銀行や貸金業者などいわゆる「お金を貸すプロ」の場合は、借金の返済期限が来たことに気づかない、ということはまずありません。しっかりとスケジュール管理をしています。

そのため、基本的に借金の返済期限が来てから5年で時効成立というのが基本となります。

時効の成立が難しいことも

先程も言ったように、銀行や貸金業者はいわば「お金を貸すプロ」です。そのため、時効のこともよく知っていますし、それを成立させないために、頻繁に電話をかけてきたり、いざとなれば裁判所に訴えりなどと、色々と手を尽くしています。

 自分で時効ではないか、と言い出すのは難しいと思いますので、まず自分の借金に時効が成立しているかも含めて、弁護士等の専門家に相談してみることを強くお勧めいたします。

借金時効のメリット・デメリット

 では、実際に借金が時効になった場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?以下で説明させていただきます。

 メリット

借金の返済義務がなくなる

まず、先ほども説明した通り、借金を返さなくともよくなります。どんなに沢山借りていても、時効になれば、一切支払わなくてよくなるわけです。

信用機関の滞納の情報が消える可能性がある

また、もう1つのメリットとして信用情報機関における情報消去です。

基本的に銀行や貸金業者などから借金をして、滞納をしている場合は「この人は滞納している人だ」という情報が「信用情報機関」という所に記録されてしまいます。

銀行や貸金業者はお金を貸す際、この信用情報機関をチェックして「この人はちゃんとお金を返してくれる人かな?」と確認することが多いです。

そのため、信用情報機関に滞納の情報が残っていると、新しくローンを組む、またはカードを作ることが難しくなる可能性があるのです。

しかし、時効が成立した場合、借金は「最初から無かった」ことになります。そのため、当然借金を滞納していた事実もなくなるわけです。

そのため、信用情報機関に登録された滞納の情報も消去される可能性があるというメリットがあるわけです。

もっとも、情報を消去するかどうかの基準は信用情報機関によって違いますので、あくまで可能性がある、に留まることには注意が必要です。

デメリット

時効が成立していない場合

時効が成立したと思って、時効の成立を主張したけれども、実際は時効が成立していなかった場合には、借入先から「借金を返しなさい」と要求され、時効の更新がされてしまう恐れがあります。

そのため、時効になったかどうかを判断するのは弁護士等の専門家に任せることを強くお勧めいたします。

時効の援用をした業者からの借り入れができない

時効が成立し、借金が無くなった場合、次からその貸金業者からは借金が出来なくなってしまいます。

貸す側としては、一度踏み倒されてしまっているので、もう一度貸してくれるということは無いと考えてよいでしょう。

もっとも、他の貸金業者等からは通常通り借りることができます。

消滅時効援用の流れ

 消滅時効援用の流れ

借金の時効期間が満了

まず、先ほど説明した時効期間が過ぎている必要があります。

受任通知送付、債権調査が行われる(専門の弁護士や司法書士に依頼した場合)

弁護士等の専門家に時効について依頼した場合は、まず「受任通知」という専門家が間に入ったことを伝える文書を借入先に送ります。

これにより、借金の督促は止まり、また専門家が現在の借金がどのような状況なのかということを示す「債権調査票」を受け取ることができます。

そして専門家はその借金が時効になっているかどうかを判断するわけです。

時効の援用手続きを行う

そして、「この借金は時効が成立しています。そのため払う必要はありません」という主張が書かれた通知を借入先側に送るわけです。これを「時効援用」と言います。

この「時効援用」は専門家等に依頼することなく、個人で行うこともできますが、先ほども説明した通り、時効のタイミングを間違えてしまった場合のデメリットも考えますと、専門家等に依頼するのが一番良いかと思われます。

借金の時効が成立

そして、借入先が「時効援用通知書」を受け取った段階で時効が成立し、借金が無くなる、ということになります。

裁判が始まっていた場合

もし既に借入先から「借金を返せ」という旨の裁判を起こされている場合は、裁判所にて「時効援用をします」と主張をし、裁判所から「その借金は時効が成立しています」と判決をくだしてもらう必要があります。

こちらが時効援用通知を送っても「いやまだ時効は成立していない」または「時効は更新されているはずだ」と主張をして、裁判を起こしてくることもあります。

裁判を起こされるリスクも考えると、やはり時効に関することは弁護士等の専門家に任せるのが一番良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、時効の内容、メリット・デメリット、手続きの流れなどについて説明いたしました。

借金が全額免除される、という制度ではありますが、なかなか成立させるのは難しくなっております。借入先の業者もそう簡単に時効は成立させないように注意を払っていることが殆どです。

そのため、借金を減らしたい場合は、時効だけでなく他の手段も一緒に考えることが大事となります。

借金を減らす手段として「債務整理」があります。債務整理についてはこちらの記事「債務整理とは?5つの種類の特徴」をご参照ください。

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本記事の監修弁護士  前田 祥夢(東京弁護士会所属)

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